農業は志す仕事 

以下の文章は、新規就農前に書いたものに修整・加筆したものです。

農業は「やる」とか「目指す」とかではなくて、「志す」が正しい気がすします。
それは人の命にかかわる職業だからです。
そして一生続けられる職業だからです。
だから農業を志すます。
心指すのです。

最初に農業を志したのは高校一年の冬でした。
高校二年からは大学受験に向けて授業を選択するからです。
大雑把に言えば「理系」か「文系」。
理系の中では「生物」か「物理」か。
生物の中では「植物」か「動物」か。

中学の時に仲の良かった理科(生物)の先生に進路を相談しに行きました。
「あなたが一番興味を持っていることを勉強すればいいのよ。生物好きなんでしょ? 得意なだけじゃないんでしょ?」そうおっしゃってくださいました。
答えはすぐに出ました。
だからその時、初めて農業を志しました。

日本の農業の現状を憂いていました。
なんとかしなければと思いました。
なんとかできると思いました。
日本の農業に無限の可能性を感じました。
だから農業を志しました。

目指していた東京農工大学には入れませんでしたが、明治大学の農学部に進学できました。
大学はとても面白かったです。
真剣に勉強した四年間でした。
特にゼミに入ってからは、ほとんどガラス温室とバイト先の往復で家に帰りませんでした。
農業への志しは、ぶれていませんでした。

だから「ハーブの研究をやってもらいたい」と言ってくれた企業に就職しました。
しかし、配属先は営業でした。
それから約二十三年もの間、何の迷いもなくずっと営業職をやっていました。
営業は楽しかったですし、成績も良かったので給料にも恵まれました。
農業への志しはどこかに忘れていました。

しかし、2010年5月1日のこと、独立するチャンスができました。
自分の得意分野を活かせるセールス・レップ(営業代行業)を始めました。
これが大きな人生の転機になりました。
そして今、凜とした農業を志し、実践しています。

仕事で山梨県や長野県に行くようになったことが大きなきっかけになりました。

いろいろな農家さんと触れ合う機会に恵まれました。
素晴らしい話をたくさん聞けました。
そして想い出しました。
農業を志すということを。

だから、真剣に農業について勉強し、ついに2012年5月1日に独立就農しました。
家族のこと、時間のこと、金銭的なこと、体力的なこと。
いろいろ大変なのは十分わかっています。
だけど僕は農業を志し、実践しています。


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